KP
【CoC】ロボトミー・クランキー【KPレスシナリオ】
---このシナリオは、探索者のキャラシート、個性を著しく破壊するおそれがあります。---
かなり後味が悪いシナリオです。
探索者に何が起こっても許せる覚悟をもってプレイしてください。
KP
*はじめに
・推奨技能:<アイデア><知識技能><戦闘、行動技能>
知識技能と戦闘、行動技能は1項目につきひとつずつあることが望ましい。
新規探索者の場合、おおまかな性格を決めておくこと。
SANの低い探索者はおすすめしません。
・ロスト:なし。ただし無傷では帰れません。
・プレイ時間:30分程度
☆大幅にSANが減少する場面があります。
狂気処理は指定があった場合のみ行ってください。それ以外の場面ではSANの減少だけ行います。
「日常に変化を求めている探索者」向けのシナリオです。
該当しない探索者でもプレイすることができますが、現状に不満の無い方はプレイ非推奨です。
日々に飽き飽きしている方。日々に嫌気が差した方は、どうぞお進みください。
KP
---ようこそ。あなたを歓迎します。----
それでは
KP:藺草
PL:夜間瀬で行っていこう。
準備はよろしいですか?
夜間 ……よくてもよくなくても、あなたは始めるんでしょう。
KP
その通り。では初めて行きましょう。
・・・
*導入
日常。
いつもの帰り道、いつもの住宅街と、消えかけの電灯。
一瞬前に見た光景は、この頃ようやく慣れてきた、平和で変わり映えの無い――あなたにとってはどこか退屈なものだった。
夜間瀬
”過去の記憶”とやらを思い浮かべているのでしょう。
確かにその時と比較するならば、この日常はいささか退屈と呼べるかもしれないわ。
……そうね、ほんの少し、突拍子のないことが起きてもよさそうな気もします。
KP
…もうすこし変化があってもいいのではなかろうか。
あなたが意識を失ったのは、奇しくもそんな事を思い浮かべた直後。
・
・
・
・
ごぼごぼ。
夜間瀬
「……!?」
おぼれている?
KP
意識を取り戻したあなたは、薄暗く、淡く緑色に発光する小さな部屋にいた。
しかし、何故だろうか?
視界の「画質」が、ひどく悪い。
あなたが見る世界は、まるで監視カメラの映像のように荒くざらついているのだ。
状況を確認しようにも、視界が前方に固定されていて首を動かすことができない。
夜間瀬
……?
首……があるのかしら。そもそも?
KP
ごぼごぼ。
やけにこもったモノラル調の水音が聞こえたかと思えば、下の方から、気泡があなたの身体を撫でるように浮かび上がった。
そこでようやくあなたは、自分が水中にいることに気が付いたのだった。
<SANチェック・0/1>
夜間瀬
CCB<=48 【SANチェック】
Cthulhu : (1D100<=48) > 53 > 失敗
system [ 夜間瀬 ] SAN : 48 → 47
夜間瀬
水の中にいることは何となく予想はついてたけど…
気泡が下から…?
……あたりを見回したいわね。どうしても
KP
*2
あなたが身動きも取れずに困り果てていると、不意に前方の扉がふたつに割れて、自動ドアのように横へ開いた。
ごぼごぼ。
奇妙な色彩の水に満たされた水槽の向こう側を、あなたは目にする。
明滅する蛍光灯。
錆びた基礎がところどころ剥き出しになった壁。
四角い部屋。
リノリウムの床。
パイプ椅子。
自分。
自分だ。間違えない。自分。縛られた自分。意識を失った自分。血の気がない自分。
________頭を割られて、中身を抜き取られた自分。
夜間瀬
………!
あ…… あれは……
KP
そう。
水槽の向こう側には、両手を後ろに縛られて拘束されたあなたが、無残にも殺されていた。
その様子はといえば、受け入れがたいほどにリアリティに溢れており、荒く粒々に歪んだ視界が映す景色からも、……死んでいる。ということがよく分かってしまうのだ。
なんて望みが無い、潔い死にざまだろうか。
頭が、真っ白になる。
だらしなく口を開き、目を濁らせて背もたれにだらりと凭れる無残なその姿は、悪い冗談以外の何物でもないというのに。
<SANチェック・1/1d3+1>
夜間瀬
CCB<=47 【SANチェック】
Cthulhu : (1D100<=47) > 24 > 成功
system [ 夜間瀬 ] SAN : 47 → 46
夜間瀬
まあ……肉体的ではないにしろ、一度は”死んだ”身だしね……。それでも、来るものはあるわ。
……? それなら、先ほどの”身体”だと私が感じたものは何?
KP
*3
不意にモノラルの聴覚が、背後に物音を捉えた。
誰かこちらへ向かって、やって来ているようである。
その気配はやがてそばに来て、あなたが入っている水槽の真後ろに立ったようだった。
背後から差した大きな影が、視界を塗りつぶすように覆いかぶさって来る。
夜間瀬 ……よほど大きなものが来たのかと思ったけど、きっと逆なのね。私が”小さい”んだわ。
KP <聞き耳>を振る。
夜間瀬
CCB<=70 【聞き耳】
Cthulhu : (1D100<=70) > 66 > 成功
KP
耳障りな雑音が、背後で断続的に鳴っている。
耳に入ってくるそのくぐもった音をよくよく聞けば、それは「羽音」と表せるものだった。
背後に佇む羽を持つ何者かに、ぞっとするかもしれない。
夜間瀬 ……私は知る由もないけど、”それ”に恨みを持つ者がたくさんいそうね。
KP
*4
直後、あなたの視界の端に太いコードのようなものがちらつく。
それを持つ手は、鋏状の奇妙な形状をしていたような気がする。
……あれはなんだ。
考える間もなく、コードは水槽の下の部分に接続される。
直後、あなたの視界は切り替わるようにして、真っ暗な闇へと変わった。
もうひとつ「かちっ」となにかを接続したような音が響けば、ぱっと視界が開ける。
すると、通常の……いや。少し、端の方に血が固まったような塊があるが、あなたの視界は明瞭に戻っていた。
視界を動かすことは相変わらずできないが、先ほどよりも視野が広い。
夜間瀬 血の固まったような塊…?
KP
あなたは、目に入る情報をひとつずつ拾ってゆく。
一人称視点で、力なく椅子に腰かけた身体が見える。頭の方からは一本、太いコードが伸びている。
…ということは、先ほどのコードは死んでいた自分に接続されたようだ。
いつの間にか、死んでいた身体側に視点が移っていることに、あなたは気が付いただろう。
夜間瀬
カチっと……コードで…?
SFね…
KP
SFそこまで知らんくせに…
では、さきほどまで視点があった方は?
リノリウムの床に投げ出されるようにされた一本のコードを辿るように見てゆけば、おのずとそれを見つけることができた。
コードの先端が接続された、その先。
そこにあったのは、銀色の円筒状の容器に収められた、人間の脳だ。
夜間瀬
何となく予想してたわよ。
……というかそれしかないわよね。
KP
脳みそが、不気味な緑色の培養液に沈められている。
それに接続された自分の頭からは、脳がくりぬかれている。
____一目瞭然の事態。
夜間瀬 ええそうね。
KP
何より、あの培養液の色や筒の中で時々浮かぶ水泡は、先ほどまであなたが目の前に感じていたものなのだから。
自分の脳が奇妙な筒に入れられてしまったことを知ったあなたは、<SANチェック・5/1d10+5>。
夜間瀬
CCB<=46 【SANチェック】
Cthulhu : (1D100<=46) > 36 > 成功
CCB<=(18*5) アイデア
Cthulhu : (1D100<=90) > 51 > 成功
KP
自分の身体を望まぬ形にされた恐怖と、思考がどこかへ置いて行かれそうになるような切迫感が襲う。
今、自分はどこにいる?
考えているのは脳か?身体か?
意識はどこにある?
コードで繋がった身体と脳の間は、何をもって共有されている?
夜間瀬 そうね、そう考えるでしょうね
KP
思考があちらこちらに飛ぶ。
何度も何度も、勢いよくシェイクされるように。
【狂気内容:分裂】
ものごとを上手く考えることができない。
繊細な思考をすることはもってのほか。
今のあなたは感情のままに、支離滅裂に剥き出しの思考をすることしかできない。
1d3回分の判定に -20の補正を受ける。
夜間瀬 ……おちついて、落ち着かないと……脳は体のあらゆる機関につながっていてそこから得られる情報を処理している。脳と体がつながっているなら”視覚”の情報があちら側なのは当然……だからどうやって脳と体がつながってるっていうのよ!?
KP
以後、肉体を使う技能は0%になる。
そして、あなたは気が付くだろう。
身体と脳とを繋ぐコードの他に、もう一本のコードが筒に繋がれていることに。
突然、あなたの脳に外部から注ぎ込まれるように声が響く。
モノラル調の曇った声色だ。
酷い音質であることを差し引いてもあまりに無機質で抑揚のない、合成音声である。
???
「こんにちは」
「調子はいかがでしょう。いいえ、こちらで観測していますので問題が無いことは認識しています」
「いわゆる、挨拶という段取りを行ったまで」
夜間瀬
一体誰!?
というのは口に出せないのでしょうね
KP
どうもその様子。
感情の感じられないその声は、区切り無く、不気味なまでに滑らかに続ける。
???
「本日は実験にご協力いただき、感謝します」
「ヒトの思考は本当に不思議です」
「例えば」
「当人が当人であるという自覚は、何をもって芽生えるのか」
「あるいは失われるのか?」
KP
その時。あなたの瞳は見る。
筒に繋がれたもう一本のコードが、合成音声の問いかけが合図であったかのように、攻撃的な赤色に染まる様を。
*【第一段階】
---ようこそ。ご協力ありがとうございます。感謝します。
では早速、限界まで”混ぜて”みましょう。---
筒内が激しく光り出し、薄暗かったその中身があらわになる。
人の脳がひとつ入るだけの小さな空間の内壁には、びっしりとフィラメントが並んでいた。
それらは、ひとつひとつが熱を持ったように真っ赤に染まり上がり、点灯した。
呼応するように大きな水泡、小さな泡が次々に昇り、沸騰してゆくのだ。
あなたはただただ、死んだ体の水晶体に映ったその映像を、筒の中で受け取り続けるしかない。
そして、無数のフィラメントが一斉に変形し、針のように尖った。
それらはあらゆる方向から、あなたの脳へと突き刺さる。
夜間瀬 あっ!?
KP
心臓が引きちぎられるような痛みに、言いようもない、味わったことのない苦しみが脳内を占めた。
そう。
あなたは外からこの様子を眺めてはいれど。
あなたの意識は間違いなく、あなたの目が今見ている、地獄のような筒の中にあるのだ。
夜間瀬
声が出せるような状態だったら、あられもない悲鳴を上げているのでしょうね。
ああ、そう、”視て”、”されて”いるだけでも酷く……
吐きそうだわ
KP
何度も何度も、思考が混ぜ返さる。
気が狂うほどの光量の中で溺れ、しかし逃れることは叶わず、吐いて楽になるための身体もない。
意識が旋回する。
ほじくられる。
入って来る。
流れ出すのを止められない。
混ざる、さかいめがわからなくなる。
シェイク、シェイク、シェイク_______!
この苦しみの中、今、脳だけになってしまったあなたが出来る抵抗は、思考することのみ。
<アイデア>を振ってください。
夜間瀬
考えるのなんて放棄したほうが楽だと思うけどね!
CCB<=90 【アイデア】
Cthulhu : (1D100<=90) > 5 > 決定的成功/スペシャル
ここで!?
system [ 夜間瀬 ] CT : 0 → 1
KP 成功した場合は続けて<POW×4>どうぞ
夜間瀬
CCB<=(10*4) 【POW】
Cthulhu : (1D100<=40) > 31 > 成功
KP
うわそれでせいこうするか…
頭をいじくられて混ぜ返される感覚の中で、あなたは自分の記憶に異変が起こっていることに気が付く。
自分が積み重ねてきた思い出、経験がおぼろげになり、消えかけている。
あなたはそれを引き留めるように、そのことだけを考え続ける。
<SANチェック・0/1d2>
夜間瀬
CCB<=46 【SANチェック】
Cthulhu : (1D100<=46) > 67 > 失敗
1d2
Cthulhu : (1D2) > 2
system [ 夜間瀬 ] SAN : 46 → 44
夜間瀬 もはや失って困るほどの記憶も無いけど……”奪われる”のは癪だね
KP
沸騰する筒の中、あなたの抵抗は功を奏ししたようだ。
一旦筒内の照明が元通りに落ち着き、混ぜられる感覚が遠ざかる。
【第二段階】
---良いデータが取れました。次に進みます。---
夜間瀬 データ…? 最悪ね
KP
ブン、と燃え上がるようだった筒内の光が消える。
解放されたと思うのもつかの間、血の気を引かせる呼びかけが脳内に響く。
次とは?
その答えを示すように、筒の中は再び真っ赤に泡立ち、沸騰を始める。
また、始まってしまった。
混ざる、混ざる、混ざる_____
上下左右の感覚をひとつずつ取り上げられ、滅茶苦茶に繋ぎ直されたかのような、際限ない目眩。
もとより既に身体を動かすことはできないのに、手足が思うように動かせなくなってゆく恐怖を鮮明に味わうだろう。
それでも、抵抗できる術は考えることのみだ。
<アイデア>を振ってください。
夜間瀬
CCB<=90 【アイデア】
Cthulhu : (1D100<=90) > 86 > 成功
KP 成功した場合は続けて<POW×3>
夜間瀬
CCB<=(10*3) 【POW】
Cthulhu : (1D100<=30) > 71 > 失敗
KP クリチケが使えますが…
夜間瀬 30なんて成功するわけ無いでしょ。そのまま進む
KP 成否は記録しておくこと。
KP 第二段階:失敗
KP
段々と、分からなくなってくる。
自分はどのように体を動かし、どのようなことが出来ただろうか?
どうすれば、何ができるだろうか?それすらが曖昧になる。
学生時代を捧げた業も、仕事で培った技術も。等しく失われてゆき、別の何かが空いた穴を塞いでしまったのだ。
<SANチェック・1/1d6>
夜間瀬
CCB<=44 【SANチェック】
Cthulhu : (1D100<=44) > 14 > 成功
system [ 夜間瀬 ] SAN : 44 → 43
KP
☆戦闘、行動技能の入れ替えを行ってください。
先ほどのPOW判定の成否により、処理が変わります。
・POW判定に成功した場合→任意の戦闘、行動技能をひとつ選び、成長した値含めて失い、初期値にする。
・POW判定に失敗した場合→<1d(手持ちの戦闘技能、行動技能の数)>を振り。出目に対応する技能を成長した値含めて失い、初期値にする。
※該当技能がひとつだけの場合はその技能を選択する。
※出目に対応する技能=キャラシート上で上から数えた時の数字。チョイスで決めても良い。
夜間瀬
(行動技能を含めていなかった為振り直し)
Cthulhu : (CHOICE[回避,組み付き,こぶし,拳銃]) > 拳銃
KP
1d4を振り、指定の技能の中から任意でひとつを選ぶ。
失った技能を選び直すことはできない。
1:回避、キック、こぶし、頭突き、投擲、組み付き、マーシャルアーツ、武道(種類は任意)
2:武器技能、拳銃、サブマシンガン、ショットガン、マシンガン、ライフル
3:乗馬、水泳、ナビゲート、跳躍、変装
4、運転、機械修理、重機械修理、電気修理
夜間瀬
Cthulhu : (1D4) > 3
CHOICE[回避,組み付き,こぶし,拳銃,変装]
Cthulhu : (CHOICE[回避,組み付き,こぶし,拳銃,変装]) > 拳銃
結局拳銃なのね…
1d4
Cthulhu : (1D4) > 2
……わたしはもう刑事ではないわけだし、……ナイフで。
拳銃 67 → 20
ナイフ 25 → 72
KP
第三段階】
---おつかれさまです。あと少しです---
あぁ。恐らくあなたはこの後身体を取り戻せたとしても、今まで通りに自分の動きをすることができない。
そもそも、自分らしい動きとはどんなものだっただろうか…?
動かして確かめるための身体は、依然としてパイプ椅子に縛られたまま。
放心している間にもあなたの脳を収めた筒は再び熱量を増し、実験はさらなる段階へと進む。
あなたは、変形したフィラメントが脳のひだの隙間へ入り込んで蠢く様子を、眺める他ないのだ。
そして。
幼子が好奇心から、繊細な宝物を遠慮なく手に取るように。
魔の手は、とうとうあなたの心にまで入り込んできた。
【第三段階-結果】
抵抗するすべなく、感情が、あなたの人格が混ぜ返されてゆく。
シェイク、シェイク、シェイク、シェイク___________!
感情があなたの意思から離れ、目まぐるしく移り変わる。
☆探索者が普段抱いている主な感情を思い浮かべてください。
喜怒哀楽に分類できれば分かりやすいでしょう。穏やかな探索者であれば楽、厳格な探索者であれば怒。
無感情であればそのまま以下の処理を行います。
夜間瀬
以前であれば怒り、あるいは哀だったわね。
今は……楽かしら。
KP
1d4を振り、挙げた感情が出目に対応した感情に書き変わります。
選んだ感情と同じものを引いた場合は振り直します。
1:喜
2:怒
3:哀
4:楽
夜間瀬
1d4
Cthulhu : (1D4) > 2
ふうん、常にイライラしてるってわけ。
……ある意味以前に戻ったんじゃないの。
KP
以降、RPをこの結果に準拠したものへ変更してください。
自分が入れ替わってゆく。
苦しかったはずが、笑っている。
楽しかったはずが、泣いている。
鎮まっていた心がひどく荒み、昂っていた感情は奥底へ沈み込む。
自分の心が、自分のものではないようにままならない。
同時にあなたは、考えてしまうのだ。
……今残っている自分は、果たして「自分」なのか?(1d3/1d10)
夜間瀬
CCB<=43 【SANチェック】
Cthulhu : (1D100<=43) > 6 > スペシャル
KP お、おう…
夜間瀬
1d3
Cthulhu : (1D3) > 1
system [ 夜間瀬 ] SAN : 43 → 42
夜間瀬
私は私に決まってるでしょ。
今までもこれからも、”私”よ。
ふざけるな。
KP
【実験終了】
---実験はこれで終了です。大変興味深い結果でした。今後の研究に、おおいに役立つことでしょう。
ご安心ください。あなたの脳はしっかりと返還させていただきますので。---
夜間瀬
……これで逃げられると思ってるんだな。
いや、今の私にはどうしようもない。
KP
ありとあらゆるものを混ぜ返した怒涛の時間は、あっけなく終わりを迎えた。
鋏状の指があなたの身体の後ろから手を伸ばし、頭に繋がっていたコードを抜き取る様子を、放心しながらも眺めていただろう。
この実験を行っていたおぞましい存在は、ずっと。
今までずっと、あなたの後ろにいたのだ。
そうしてコードが外されると、視界から受ける一切の情報がシャットダウンされた。
間もなく、脳側で呆然と続いていた意識も、電源を切るように闇へと落とされる。
▷おつかれさまでした。
・・・
・・
・
気付けば、変わり映えのしない、いつもの景色の中にいた。
人一人いない歩道にぽつんと立ち尽くしていたあなたは、そこに自分がいる。
自分がここに立っている。と気が付くまでに、少し時間を要する。
なぜなら、あなたの内面は。振る舞いは。心の動き方は、すっかり入れ替わってしまった。
夜間瀬
……何もかも覚えている。
あの奇妙な腕の持ち主が私に妙なことをしでかしたんだろう。
……仕返ししてやらないと気がすまない。
……だがその手がかりだって無いんだろう
KP
あなたは、はたして今ここにいるあなたをあなたであると、肯定できるだろうか…?
帰路に向けて足を踏み出せば、いつもと逆の足が出た。
なのに、そこに違和感は無い。なんだか、元からこうであったような気さえしてくる。
身体がそう思い込んで、変化に適応しようとしているのだ。
適応できてしまっているということが恐ろしいが、そうでもしないと正気を手放してしまいそうだ。
あなたはいつもの帰り道を、歩いてゆく。
取り返しが付かないほどの、いくつもの変化を抱えて。
夜間瀬
イライラとしながら家に帰る。
どのようにすれば、あの奇妙な存在に仕返しができるのか考えながら。
KP
▷END
---生還おめでとうございます。とても喜ばしいことです。---
・SAN報酬:1d10
・【後遺症:ロボトミー被験者】
探索者はある日を境に、持っていたはずの知識や技術、嗜好ががらりと変わっている。
経験したことが無い事をこなすことができる、反対に出来たはずのことができないなどの日常的な支障が多く発生する。
そのことにショックを受けるごとに、<SANチェック・0/1>を行う。
この後遺症は探索者が現状に慣れきらない限り、永続的に残るものとする。
夜間瀬
1d10 生還報酬/SAN回復
Cthulhu : (1D10) > 3
system [ 夜間瀬 ] SAN : 42 → 45
KP
☆このシナリオで起こった変化への注釈
・入れ替わってしまった知識技能、行動技能、戦闘技能について
技能がなくなる=知識そのもの、あるいはその行動を取るための要点を忘れてしまいました。
もとに戻すことはできませんが、あらたに成長して取得することは可能です。
感覚的には、1から学び直すということになります。
新たに取得した技能については、「学んでいないのに知っている」「やったことはないがやり方が分かる」という感覚でしょう。
・差し出せる技能がなく、ステータスが減少した場合
ステータス減少の場合も同じく、PCが日常的に行っていた行動をひとつ取れなくなっているでしょう。
それがどんな変化であるかは、PLが決めて構いません。
・心変わりについて
探索者は、思考回路が変わってしまいました。
「書き変わった元の感情を抱くはずの場面で、出目によって決まった感情になってしまう」という解釈をしてください。
(例:普段温厚だった探索者が1d4で「哀」を引いた場合、これまでに温厚に過ごしていたであろう場面で、悲しみや鬱屈した感情を抱える。)
逆に、書き変わった結果の感情を抱く時に、書き変わる前の感情を抱くこともあるかもしれません。
・結果が受け入れられない場合
キャラシートの変更箇所を消し、今まで通りの探索者を継続します。
その探索者は、実験前にバックアップとして作られたクローンかもしれません。
*あとがき
ロボトミー手術をモチーフにしたシナリオでした。
正直かなり怒られそうなギミックだと作者も思っているんですが、まずはおつかれさまでした。
今回はKPレス、一人プレイという要素を「身動きができない」という部分に使ってみました。
探索者は今回、運悪くミ=ゴの実験に「協力」することになります。
道端を歩いていたら連れ去られました。
早速脳を摘出され、脳缶に詰め詰めされてしまいます。ナム。
2015サプリによると、ミ=ゴの超技術で脳缶状態でも視覚、聴覚を保持することができるようです。
序盤に脳だけの状態だったはずの探索者が、荒い映像やモノラル音声で周囲の状況を知ることができたのは、その技術のおかげ。
ですが今回のミ=ゴは被験体に出来る限りのケアをしようとしてくれていたようで、状況が分かるようにご丁寧に身体と脳を繋いで視覚中継をしてくれました。
ですが彼らの人間の心理への理解度は高くはなく、探索者にとって嬉しい対応と言えないものになっていましたが…。
PL的にもPC的にも後味の悪い結末であることを想定して作ってありますが、変化をどのように捉えるかはプレイヤー次第でしょう。
使える技能を手に入れてウハウハ!となっても良し。
是非新しい技能を使い込んで、自分のものにしてください。
ここまでプレイしていただきありがとうございました。
……もうヤツらには捕まらないように!
夜間瀬
1d10 クリティカルチケット成長
Cthulhu : (1D10) > 7
……今回入れ替わった技能、ナイフに追加で。